今日は、恐ろしい体験を…させていしまいました。

週に一度のお仕事帰省。
実家に一泊。母とのおしゃべり。家事からの解放(…ってそんなにちゃんと主婦してないけど)。

年齢相応に、とっても自立心の強いうちのちびちゃんは、いつもマイペース。
おかさんと遊びたいときは「たーたん!」と呼ぶ。
本当に来てほしいときは、行くまで、ずっと、呼び続ける。
しばらく遊んで「ばーい」と離れても、また呼ぶ。
一人で楽しんでいるときは、モクモクと集中する。
遊びを止めたくないときは、先に「ばーい」と言われるときもある。

そんなちびちゃんのマイペース振りは、時には、おかさんに自由な時間をくれる。
いえ、結構、自分で作ってますけど…自分の時間。

…で、いつものように、お食事の後、ちびちゃんはお風呂でみーみ(水)遊びをしていた。
AQUA PLAYというおもちゃでいつものように。

その時おかさんはダイニングで日記を書いたりしながら、時折お風呂場を覗くことにしている。
今日は、母とまた『冬のソナタ』を観ようとしてた。

ちびちゃんは、クレーン車がはまる穴に指を入れて、ポンプでそこに水をかけて遊んでいる。
とっても集中している?
また、新しい遊びを考えたのかな?
「子供って、本当に遊びながら学んだねえ」
母と笑っていた。
でも、指、そのままで遊んでるけど…?
ちびちゃんの、表情が止まった。
「…おしっこ?」
何だか、おかしい?
「あんがする?(上がる?)」
行ってみた。
途端にちびちゃんは動揺した顔をする。
「お指、とろうか?」

…………。

抜けない?

突然、ふえっと小さく泣き出すちびちゃん。
でも、耐えている。
ちょっと焦りながらも動揺を見せないように必死のおかさん。
石けんを使ってみても、ゆっくりまわしても、動かない。

お指が黒ずんで、冷たくなっている。

まずい。

母が叫んだ。
「病院に行きなさいっっっっ!!!!」

その声にはっとして、ちびちゃんをタオルで拭きあげる。
びしょぬれのジーンズのまま、はだかん坊のちびちゃんをタオルで巻いて、保険証を出そうとバックを引っくり返す。
その行為をしながら、どんどん恐くなってきた。
どうしよう。
目を離したせいだ。
ちびちゃんの異変に気が付かなかった。
どうしよう。

暗闇の中、近くの整形外科に走った。
涼しい風がほほをなでると、恐怖がますます大きくなった。

切断

しなくてはならなくなったら。

おかさんのせいだ。

どうしよう、どうしよう。

「神様…!」

半泣きで思わず口に出た言葉。

裸の子供を抱っこして、半泣きでこんな言葉を吐きながら髪を振り乱して走る母親。
今思えば、何事!?って感じだよな…。
近所なのに…恥ずかしい。

その病院は、2棟に別れている。
整形外科は旧館の方…のはず。
電話は母が入れている。
なのに、チャイムを鳴らしても鳴らしても反応が、無い。

どうして!?早く!一刻も、早く!!

もう、駄目だ。救急車呼んで他に行こうか!?

心で叫びながら、思わずどんどんと動きそうも無い自動ドアを叩いてみた。
がちゃ…
看護師さんがすごいタイミングで開ける。

…取り乱しているのを、観られてしまったあ…。
がっくり。

「先生と、連絡がとれないんです。」

無情に響く、看護士さんの声。
ええっっ!!?
そんなあ。
それなら、断ってよおおーーーーっっ
この、緊急事態が、解らないの!?
思わず、「あの、看護婦さんですよね?」と聞いてしまった。
せめて、ちょっと指診るとか、してよお。
応急処置、しないのお?

動揺をちびちゃんに伝えるまいと、必死のおかさん。
出たいと意思表示をするちびちゃんを宥め、ねんねこして待ってようね、と待合室のベンチに横にさせる。
「ばあば…かえゆ(帰る)」
不安がこぼれ落ちたように、呟くちびちゃん。
震えてる。
寒いんだよ…。慌てちゃって、裸でつれてきちゃったもん。
「ばあばに、来てもらおうね?」
お洋服も、持ってきてもらおう。
電話すると、凄い早さで出る母。
「呼んでるから、来てあげて。」
あ、お洋服って言うの忘れた。そういうところはさすがの母なので、大丈夫かな、と待つことにする。
登場した母は、ピンクの…タオル、そしてお財布持参。

………。

ううむ、動揺しているってこと、忘れてた。

母と一緒に、先生が来て下さった。
後光が差してるよ…。

「喉に詰めた!!?」

いえ、先生、喉に詰めてるなら、整形には…来ない、かな?
思わず心の中突っ込む私。

ちびちゃんの指を診た先生は、ぱっと顔色を変える。
「どのくらい、時間経ってるの?」
ぎくっ!それが、はっきり言えないんです…最低の母親です…。

「あ、あの…10分…くらい?」
考えてみたら、病院に着いてから数分は経ってるので、もっとあったんでしょうが。
もう、そんなこといいから、早く!!
と、とりあえず、まだ、指、動かしてます。

何か、動き出したことを察したちびちゃんが、明らかに動揺し出した。
必死に外を指し、「かえゆー」泣き出した。
「大丈夫、大丈夫だよ、たーたんが、付いてるからね。」
何だか、信じられないけれど、その緊迫感の中、ちびちゃんは納得してくれた。

「はようせんか!!!!」
処置室から、先生の怒声が響く。
「す、すみませんっっ!」
思わず、他のモードに切り替わりそうになるけれど、抱えているのは自分の子供。
やっぱり、駄目だあ。
ミニ手術室のような処置室。
怖い…。

「うーーん、外れそうにないねえ。」
呟く先生。
うん、うんと頷く私。
あれだけ必死に試したんですもん。そんな、ちょろっと触っただけじゃ、無理ですよお。

そして。
出てきた器具を見て、固まるおかさん。

ういーーーーーーーーーーん

それ…電気のこぎり??

半径5cmののこぎり円盤が回転している。
あ、あの、先生、それ、もしかして…つ、使うんですか??
使うんですよね…それ、やっぱり。
でもそれ、おもちゃだけでなく、指も…切れません???
びくびくびく

泣きそう。
倒れそう。
ちびちゃんを押さえているのか、ちびちゃんにしがみついているのか、自分でもわからなくなりながら。
「大丈夫よ、すぐ、終わるよ。怖くないよ。」
自分に言い聞かせるようにちびちゃんにささやく。

ぎゅいーーーーーーーーーん…がごががががあああああっっっ!

うぎゃああああっっ
やあーめえーてえええええっっ!!
ひいいいいいいいっっっっ

ん?

音が止まった。

その、電気のこぎりは、突破口を開くためで。
後はのみ、今度はのみ。
そ、そうだよね。ははははは。
冷や汗が流れる。

そこでちびちゃんが初めて言った。
「痛いい…。」
指はうっ血のため、晴れ上がり、結果おもちゃはすっかり食い込んだようになっている。
それを動かすから、かなり痛いだろう。

ぱかっ

は、外れた。
えーーーん。よかったよおお。
おそるおそる指を見た。
真っ赤に腫れている。

よかった…

もう、大丈夫。
もう、大丈夫。

熱いくらいに血が巡って、真っ赤になっている指をそっとなでる。
外に控えている母に聞こえるように。
「終わったよ、もう、大丈夫。」

上に続く

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